百尺(ひゃくしゃく)竿頭(かんとう)に一歩を進む、という。30メートルものさおの先、極限まできているのに、さらに踏み出す、と。努力を尽くした上に、もう一段努力することをいう
 
 国会前にある憲政記念館の時計塔は、高さ31・5メートルで百尺を超す。担当の人に聞くと、建設時、「百尺竿頭」も念頭に高さを決めたという。日本国憲法施行から70年。国会周辺を歩きながら思った。その趣旨を生かす、もう一歩の努力をしてきただろうか
 
 70年、憲法が意図した通り、「平和」ではあった。この平和、戦争放棄をうたった9条があってこそなのかもしれない。しかし、この間、時々に都合の良い解釈が生まれ、平和主義が空洞化してきたのも事実。沖縄のように、重荷を背負わされた場所もある
 
 安全保障関連法に基づき、米軍の艦艇を守る「武器等防護」が実施された。自衛隊が安保関連法の新任務に当たるのは初めてだ。武力衝突の可能性も低く、狙いは実績作りにあるのだろう。米軍との軍事的一体化が、国会の承認もなしに本格化していく
 
 9条が禁じている「武力による威嚇」にもつながりかねない。力による正義を否定した70年前の初心に立ち返る必要がある
 
 時計塔を見上げつつ思う。時の政権の勝手な解釈を許さないための改憲もあり得る。憲法を大事にしてきた人も真剣に、議論を始めるべき時ではないか。