国政を私物化した前政権を打ち倒しての韓国大統領選である。革新系の文在寅(ムンジェイン)氏の大勝は、事件の最終章の始まりとして、約束されていたようにも見えた
 
 著しい不平等感が若者をとらえて離さない。同じ名門女子大の2人。片や「金を持つ親の下に生まれるのも実力のうち」と、フェイスブックに書き込む。片や「諦めて生きていくことを諭されるばかり」。就職活動を控えて、不安を募らせている
 
 こんな流行語があるそうだ。「ヘル(地獄)朝鮮」。深刻な就職難を指している。若年層の失業率は10%近い。一向に改まる気配のない政治家と財閥の癒着。怒れる若者たちが、こぞって文氏の支持に回った
 
 保革の対立、世代間の分裂、貧富の格差、雇用不安。近年の各国と同様に、この国にも容易に修復し難い亀裂がある。勝利宣言で文氏は「国民の統合」を叫んだが道は険しい
 
 「困難な時ほど原則に戻れ」が座右の銘だという。同時に「過度な真剣さと潔癖主義」が短所とも自認する。この世界、原理原則で太刀打ちできる問題ばかりではない。少数与党でもある。激しく反発する保守層とも折り合いをつけながら、物語をどう書き進めるか
 
 国民の期待が失望に変わるには、それほど時間はかからないものだ。大切な約束をいくつも交わしている隣人としては、次のページが気になる。