江戸時代、「恐れ入れ」という判決があった。被告は平伏し、こう受ける。「恐れ入りました」。これで放免となるのだが、気に入らない人もいたと見え、「恐れ入らぬ」と抵抗した記録も残る
 
 「恐れ入る」は便利な言葉だ。感謝に謝罪、驚き、あきれたときにも使う。例えばこんなふう。「トランプさんがFBI長官を解任したらしい」「ロシア絡みかね。あの人には恐れ入るよ」
 
 解任の理由はクリントン元国務長官のメール問題での不手際だという。「彼はいい仕事をしていなかった」とトランプ大統領。だとしても、なぜこのタイミングか、と身内の共和党からも疑問の声が上がっている
 
 解任された長官は、ロシア政府による米大統領選干渉疑惑の捜査を加速するため、体制の強化を求めていたそうだ。トランプ氏周辺がどう絡んでいたかも調べており、解任は捜査妨害が狙いとの見方が強い
 
 ロシアとの不適切な関係が明らかになれば「恐れ入りました」では済まない。だからこその「米国史に残る権力の乱用」(CNN)との印象もある
 
 「江戸の記録では、恐れ入らぬと言い続け、無罪になった人もいるようだ。トランプさんはどうかな」「いずれにしても説明を尽くさないと、疑惑は深まるばかりだよ。矛先をかわすのに、ミサイルを撃つなんてことがないよう祈りたいね」。