「数の力」で、結局は政権の思い通りに事が進んでいく。珍しくなくなった景色である。むなしさも漂うけれど、ここはやはり次のステージで、粘り強く疑問をただしていくほかはない
「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案が衆院を通過した。テロ対策に必要だ。そう納得できればいいが、対象はどこまで広がるのか。心の内まで監視されるのではないか
聞けば聞くほど疑念は深まるばかりである。そもそもの原因は、法案の持つあいまいさにあるのだが、筋道立って理解しようと試みても、法相らの粗雑な説明に、努力がかき消される
その象徴が「花見問答」である。日常の行動と、処罰の対象となる犯罪の準備行為を、どう見分けるか。外形的な事情から区別できる、と法相は主張し「花見であればビールや弁当、下見であれば地図や双眼鏡を持っている」。答弁の通りなら、おちおち野鳥観察もできなくなる法案らしい
テロを完全に防ぐのは困難とされる。英国では人気歌手のコンサートが狙われ、多数の死傷者が出た。こんにゃく問答を繰り返している間に、本当に大切なことが抜け落ちてはいないのだろうか
国民の多くが説明不足を感じている法案である。昨今、いささか看板倒れのところが目立つとはいえ、参院、「良識の府」。看板通りの議論を期待する。
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