4月15日付朝刊の「読者の手紙」欄に掲載されていた一つの「手紙」が目が留まった。タイトルは「置かれた場所で前向きに努力」。東京都に住む18歳の学生からの投稿だった。
 恐らく徳島出身だろう。4月から東京の大学に進学した心境がつづられていた。
 
 書き出しは「大学入試で失敗した。人生が終わった、と思った」で始まる。深く考えずに出願した大学に通っている、とある。
 そんなある日の出来事が記されていた。帰りの満員電車に乗っていた時に、顔が扉に映っていた。しかめ面だったという。「なんでこんなところでこんなことをしよんやろか、不安になった」とし、後悔の念や家族への申し訳ない気持ちが続いた。
 そんな思いを抱きながら家に帰ると、ポストに手紙が入っていた。差出人は祖父。ぬくもりのある字で応援する内容だった。一枚の絵のコピーも同封されていた。幼い頃に祖父に送った絵だった。本人と祖父が描かれていた。
 「読者の手紙」の女性の投稿は、こう結ばれていた。「置かれた場所で咲こうとしたい。そう思った」。
 
 思い描いた通りにいかないのが人生。さまざまな「まさか」も起こる。ただ、神様からのプレゼントなのか、落ち込んでいたり、道に迷っていたりする時に、思い掛けない一言や出来事で救われることがある。そんな「まさか」もある。
 春はどこか華やかな雰囲気が漂う。しかし、進学や就職、異動などで気分が晴れないスタートを切った人もいるだろう。それでも地道に頑張れば、新たな世界が待っているかもしれない。
 望み通りの花を咲かすことができなくても、応援してくれる「土」や「水」がきっとあるはず。ぜひ世界に一つだけの花を咲かせてほしい。(卓)