ぎょっとする数字である。韓国の原発で使用済み核燃料の火災を伴う事故が起きた場合、西日本を中心に最大2830万人が避難を余儀なくされる恐れがある。そんな試算を韓国の専門家がまとめた

 2015年1月1日の気象データに基づく放射性物質拡散予想図には、韓国南部の1点に始まり、瀬戸内から四国、紀伊半島を通って太平洋に抜ける赤い帯が示されている。高濃度の汚染地域である

 本県も全域が帯の中に収まっている。偏西風に乗って放射性物質が飛来するらしい。一衣帯水の関係とはいえ、韓国をも上回る甚大な被害が出るという

 試算が正しいとすれば明白な脅威だ。この専門家はさらに気味の悪いことを言う。「地震や津波だけでなく、テロや北朝鮮のミサイル攻撃が事故につながる事態も排除できない」

 国際社会の懸念をあざ笑うように、北朝鮮のミサイル実験がやまない。「成功」に気を良くしたのか、新型中距離弾道ミサイルを実戦配備し、量産する構えだ。そうなると、日本全土が射程に収まるとされる

 韓国の原発が攻撃を受けても、気象条件によっては、海を越えて影響は広範囲に及ぶ。日本国内の施設なら、なおさらだ。その確率は、自然災害に比べて高いか、低いか。まともに議論はされないが、とにもかくにも大変なリスクであることに違いはない。