「該当する文書の存在は確認できなかった」。確認できなかったのであって、なかったと言っているわけではない

 ありやなしや。入り口でもたついていた学校法人加計(かけ)学園の獣医学部新設計画を巡る記録文書について、文部科学省の前川喜平前事務次官が記者会見し、「確実に存在していた」と断じた。文科省の専門教育課で作成され、在職中に幹部の間で共有された文書だという

 文科省の天下り問題で引責辞任しており、政権を逆恨みしての証言ではないか、との見方がある。決して上品とはいえない店への出入りも問題にされているが、これも文書のありやなしやには直接関係がない。新設計画に携わった前事務方トップの発言である。「ある」に大きく傾いたとみるのが自然だろう

 文書には、こんな記述があった。「官邸の最高レベルが言っていること」「総理の意向だ」。忖度(そんたく)し、あるべき行政がねじ曲げられたこと、ありやなしや。明らかにしなければならないのは、この点だ

 前次官はこうも述べた。「疑問を感じながら仕事をしていた。まっとうな行政に戻すことができなかった。押し切られてしまった責任は大きい」

 国会に求められれば証人喚問や参考人招致に応じる、と前川前次官は言っている。政府、与党にしても、事実を解明するのに何をためらう必要があろうか。