ジャズと農村舞台、人形浄瑠璃の異質な組み合わせ、さてどうなるだろう。興味津々、那賀町の白人神社境内の拝宮農村舞台、山下洋輔さんの公演に出掛けた
 
 客席後方の山肌はせり上がり、円形劇場のよう。世界的ピアニストが繰り出す音が那賀の山中、樹齢700年のスギをはじめ、取り囲む境内の木々に吸い込まれていく
 
 ダッ、ダッ、と階段を上がるように展開していくラベル「ボレロ」の即興演奏に合わせ、勘緑さん=三好市出身=が、これも即興で人形を遣った。音の洪水に身を委ね、ほとばしる情念のままに舞う、そんな舞台だった
 
 異種格闘技ともいえるコンサート。結論から言ってこれもあり、というか、かなりいい。変幻自在なジャズという音楽、自然の緑の持つ力、そうしたものが響き合い、調和して、あの日、あの場所でしか成立し得ない空間を生み出していた
 
 公演は、町の地域おこし協力隊員の声掛けで実現したそうである。街には街の文化があり、山村には山村の伝統があり、それを結び合う人がいて、初めて新しい試みが生まれ、新しい文化が生まれる
 
 東京一極集中が進む中、経済ばかりか、人の生き方すらも単調になりつつある。街の目で農山漁村を見直し、農山漁村の目で街を見直す。日本という国の、幅の広さを保つために、欠かせないことなのだろう。