たまにこの欄に登場してもらう連れ合いが、憤然とした調子で言う。「鳴潮に出てくる私、怒ってばっかり。読んだ人が勘違いするじゃないの」。勘違い? 本当のことじゃないか、とは無論口に出さず、「まあまあ」といなした。火に油を注ぐようなまねはしない
こんなやりとりが、これからどれほど続くのだろう。人生も半ばを過ぎると、ぼんやりと先のことを考えたりもする。卒業にはまだ間があるが、最近よく売れているという「定年後」(中公新書)を手に取ってみた
自身も大手生命保険会社を定年退職した著者・楠木新さんは、「人生は後半戦が勝負」と読者にはっぱをかける。60歳から84歳まで自由に使える時間は8万時間。60歳までの総実労働時間よりも多い
とすれば、第二の人生も夢多きものに思えるが、現実はなかなかそうはいかないらしい。著者によると、生き生き元気に生活している人は「全体の1割5分」。無論、正確な数字ではないが、決して多数派というわけでもなさそうだ
「8万時間」を実りのある日々とするか、無為に過ごすか。「終わりよければすべてよし」といくには、相応の心構えと準備が欠かせないようである
資産、健康管理はもちろん、共に時を過ごす配偶者との関係も、良好に保つに越したことはない。せいぜい恨みを買わずにおこう。
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