梅雨と傘。月並みな連想だが、調べてみれば面白い

 古川柳にある。<傘をあごに持(もた)せてよんで居(いる)>。はて? 編注には「雨に物を買い」とある。どうやら、品物で手がふさがり、仕方なく肩とあごで傘を支え、かごを呼んでいる光景らしい

 「本当に江戸の浪人は傘張りの内職をしていたのか?」(実業之日本社)によると、傘は江戸時代の中ごろから普及し始めた。新品は今の価格で1万円以上し、庶民は簡単に手が出せなかった

 そこで中古傘ビジネスが花開く。「古骨買い」と呼ばれる専門業者が破れ傘を集め、それを仕入れて再生したのが「張替傘」。新品の半値ほどで、人気があったようだ。組屋敷の甲賀者には傘張り内職の熟練者が多かったといい、時代劇の描写もあながち的外れではなかった

 洋傘に押され、風前のともしびとなっているが、かつて美馬市美馬町郡里地区は全国2位の産地だった。和傘作りは竹や紙相手の微妙な仕事である。以前、取材したこの道70年の職人は難しさをこう語った。「1本1本、するたびさらじゃ。性根入れてせにゃ、1銭にもならん」

 技術を絶やさないよう「美馬和傘製作集団」が市伝統工芸体験館を拠点に活動中。「まずは受注増から。ゆくゆくは工芸品に」と住友聡代表。雨とは相性のいい傘だけど、ここは「雨ニモマケズ」と行こう。