天皇陛下の退位を実現する特例法の成立を歓迎する声が広がる中、学習院初等科から大学まで一緒に過ごした同級生、橋本明さんは怒りを込めて言う。「陛下の意思に反する結果になってしまった」
 
 憲法は第1条でこう定めている。<天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く>。象徴天皇として初めて即位されたのが、陛下である
 
 大きな災害の現場には、必ずその姿があった。「『平民』にひざまずくとは何事か」との批判も意に介さず、苦しむ人々と同じ目線で、共に歩む姿こそ、陛下が体現し国民が支持する象徴天皇の在り方だった。「祈っているだけでよい」「元首」といった天皇像からは遠いところにある
 
 全ての戦争犠牲者を慰霊し、平和を希求した。パラオ・ペリリュー島の玉砕やマニラの市街戦など、慰霊の旅では埋もれがちな歴史を再認識させてくれた
 
 「そうした公的行為を全身全霊で行うことが難しくなったからこそ、さらには次の世代のことも考えた上で、退位の意向をにじませた『お言葉』を表明したはず」と、橋本さんは「一代限り」の特例法を批判する
 
 高齢化の問題が再び浮上するのは間違いない。皇族減少への対応も含め、象徴天皇制をどう安定的に維持するか。議論は始まったばかりだ。