どこの国だってほんとうの善人は多くない、はなはだ少ない。美しい人も多くはない、はなはだ少ない。しかしいないことはない。ただそういう人にめったに会うことができないだけだ-武者小路実篤「友情」
「上司の許可なく外部に流出させた場合、国家公務員法違反になる」。記録文書を流出させた内部告発者に関して、義家弘介文部科学副大臣は参院委でそう述べた。学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡る問題である
一般論と断っての答弁だが、「総理の意向」文書の再調査は、文書が存在すると告発した犯人捜しが目的ではないか、ともささやかれる中での発言である。一種の脅しと受け止めた人もいるに違いない
あるものをないと言わざるを得ない。できないことをできると言わざるを得ない状況に追い込まれているとするなら、その組織はとても正常とはいえない。急場はしのげても、ゆくゆくは行き詰まる
流れに身を任せることもできたのに、あえてゆがみをただそうとするには勇気がいる。著しく不当な意図でもない限り、告発者は公益通報者として守られるのが筋だ。そもそも、文書に記された事実があるのかどうか、吟味する方が重要だろう
「はなはだ少ない。しかしいないことはない」。そういう政治家や官僚にこそ、この国を動かす資格がある、と思う。
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