先日、熊本県の蒲島郁夫知事の講演を聞いていて、なるほどな、という公式を知った。米ハーバード大時代の恩師・国際政治学者ハンティントン氏の説で、一般に「ギャップ仮説」と呼ばれるそうだ
 
 なぜ「不満」が生まれるか。分母に「実態(+展望)」を、分子に「期待値」を置く式で導くことができる。膨らむ期待に実態がついてこないと、期待は失望に変わり不満につながる。当たり前のようだが、実態が大きいことが重要だ
 
 逆も成り立つ。期待が小さなうちに実態(展望)をそろえていく。公式に当てはめると、こちらも不満は小さくなる。大事なのはスピード感である
 
 「食料も仮設住宅も、すぐには用意できません。政治はすごく実態が遅い。ならば、いつまでにやると展望を示す。熊本の震災対応です」
 
 他にやることが、との声を振り切り、昨年4月の地震発生直後、有識者会議の設置を手配した。6月に「創造的な復興を目指す」との提言を受け、8月には復旧・復興プランを打ち出した。国に要望する際も具体的に計画を説明でき、支援を求めやすくなったという
 
 住まいの再建や熊本城の復旧など重点10項目の完了目標を、知事の任期の終わる2019年度末と明示している。「自分の首を絞めますよ、と県幹部に止められましたが、首を絞めないとできませんよね」。