なるほど、と思った言葉は書き留めるようにしている。<ことばは翼を持つが、思うところに飛ばない―「スペインのジプシー」ジョージ・エリオット>もそうだ
 
 本紙連載の「ことば遍路」で取り上げられていた。これをたどったのは、稲田朋美防衛相から失言が飛び出したからだ。「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」。東京都議選の自民党候補を応援する集会で演説したという
 
 防衛相なら無論、熟知しているはずの自衛隊法である。隊員の政治的行為を制限しているが、稲田氏の発言は、防衛省と自衛隊が組織を挙げて候補者を支援すると言っているようなものだ。法にも抵触する恐れがある
 
 発言の一部を切り取ったものではない。政府高官が言うように「前後の文脈と関係なく、まずい」のである。言葉は思うところに飛ばない―。野党はもとより、身内である自衛官からも「軽率だ」という批判の声が上がった
 
 物議を醸してきた国会での答弁を再び思い出させた。それにしても撤回、謝罪に追い込まれた失言は3カ月ほどで忘れるものなのか。いつか来た道である。今回も稲田氏は発言を撤回した
 
 作家や詩人のようにとは言わないが、政治家の言葉には、なるほどと思えるものがあまりない。自戒を込めて記したい。「惜しみ惜しみ」語るべきである、と。