弾道ミサイル落下時の避難方法を示す政府広報や各地で行われている訓練を眺めて思う。反骨の新聞人、桐生悠々なら今、どんな論陣を張るだろう
 
 桐生は1933年、信濃毎日新聞に社説「関東防空大演習を嗤(わら)う」を書き、軍部ににらまれて職を追われた。「嗤」には、さげすみ笑うという意味があり、軍が怒るのも無理はないのだが、それほどばかばかしい演習に映ったようである
 
 東京上空で敵機を迎え撃つ。わが軍の敗北そのものじゃないか。木造家屋の多い街は一挙に焦土になる。こんなことはあってはならない。最初からこれを想定した作戦計画など滑稽で、敵機を領土に入らせないことこそが重要だ
 
 桐生が憂慮した通り、現実は進んでいくのだが、軍は何をしていたか。例えば戦争を主導した東条英機元首相。<「戦争とは負けたと思ったときが負けだ」といった言い方をくり返している。どういうことか>(保阪正康著「昭和史のかたち」岩波新書)
 
 日中戦争の発端となった盧溝橋事件が起きたのが、80年前の7月7日。太平洋へと続く戦いで国が壊滅した歴史を踏まえ、日本は賢くなっただろうか
 
 折しもドイツでG20首脳会合が開かれている。北朝鮮問題も主要な議題の一つである。当事国の代表である安倍晋三首相には、世界に確かな道を指し示してもらいたいと思う。