サンドイッチは、カード賭博に入れ込んだ英国の伯爵の名に由来するという。食事をする間も惜しかったようで、パンにローストビーフなどを挟み、食べながらゲームを続けた
 
 こうした料理は以前からあったものの、褒められたものでないギャンブル癖とともに、改めてサンドイッチの呼び名で通るようになっていったのだろう
 
 生まれは徳川時代の1757年、伯爵から遅れること約40年。歌舞伎とうなぎが大好きな大久保今助は、江戸中村座のスポンサーで、とにかく忙しい人だったようである。芝居小屋でも、決まってうなぎをとるのだが、店から届く間に冷めてしまう
 
 そこで考えた。温かいご飯にうなぎを挟んで持って来させれば、温かいまま食べられるのではないか。それから広まったとされるうな丼は、天丼、カツ丼、牛丼など、日本人が愛してやまない丼物の嚆矢(こうし)となった
 
 以上は「にっぽん料理大全」(岩波書店)によった。牛久沼が「うな丼発祥の地」とする茨城県龍ケ崎市のホームページには、全く違った話が載っている。ただ、ここでも主人公を務めているから、今助とうな丼はよほど縁が深いようだ
 
 伯爵の戦績は定かではない。中村座は大当たりを続け、今助は大いにもうけたらしい。成功の陰にうなぎあり。多少なりともあやかりたい、きょう土用丑(うし)の日である。