最初が肝心というけれど、初めからそう主張しておけば、疑問の多くは速やかに解決していたのかもしれない。「総理の意向」など働くわけがない。そもそも知らなかったのだから。釈明が事実とすれば、である
 
 参院予算委員会の閉会中審査は、「今年1月20日」を巡り、激しいやりとりが続いた。「加計(かけ)学園」による獣医学部新設計画を把握したのはこの日だと安倍晋三首相は言う。過去の答弁との矛盾を指摘されると、「おわびして訂正したい」と述べた
 
 事実とすれば、誠に奇妙だ。周囲の誰もが知っているのに、知らないのは首相だけ。童話「裸の王様」そのままの構図である。官邸でそんなことが起こっているなら問題だ。それはないだろう、と普通なら思う
 
 しかし、事実でなければ、これはこれで大問題である。学生時代からの「腹心の友」とはいえ、利害関係者の学園理事長と、飲食やゴルフをしていたことになる。「李下(りか)に冠を正さず」の首相がやるべきことではない
 
 知らなかったからこそ、親密な付き合いができたのだ、と反論もできるだろうが、長年の友人の計画を知らないのは、いかにも不自然
 
 記録も記憶も、ないない尽くしの衆参予算委で、疑念はさらに深まった。学園理事長の話も聞く必要があろう。友の窮地だ。友人なら喜んで駆け付けてくれるはずである。