19人が刺殺され、26人が重軽傷を負った相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」の事件から1年が過ぎた。報道各社の取材に元職員植松聖(さとし)被告が手紙で応じている

 彼はつづる。「最低限度の自立ができない人間を支援することは自然の法則に反する」「障害者は不幸をつくる」「意思疎通ができない人間を安楽死させるべきだ」。遺族らへの謝罪の言葉は見当たらない

 自らを正当化する独善的な主張に怒りを新たにした人も多かろう。一方で、何か引っ掛かるものを感じた人もいるのではないか。「共生」を掲げる社会で、障害のある人のうち、どれほどが地域で当たり前に生活しているか

 被告の主張は極端だが、きれい事では済まない現実がある。やまゆり園のような入所施設は全国に約2600カ所あり、13万人が暮らす。始まって4年になる新出生前診断で、胎児に異常が見つかった妊婦の94%が人工妊娠中絶を選択している

 以前、取材で聞いた。県内のある札所の門前で、夜露をしのぐハンセン病患者に寄り添う人がいた。治療法がなく、共にひどい差別にさらされかねない戦前の話だ

 越え難い壁を越える。「共生」とはそういうことだ。実際、重い障害があっても、支援を受け自立する人がいる。きれい事がきれい事にしか聞こえないのは、社会の努力が足りないからだ。