引き立てられたけれど、担ぐにふさわしい人だったのかどうか。きのう辞任した稲田朋美防衛相のことである
 
 南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽(いんぺい)問題で、監督責任を取った。一連の言動をたどれば、遅過ぎる退場である
 
 防衛省は事務次官に続いて陸上幕僚長も来月退職させる。担ぎ手に責任を押し付け、自分だけ居座るのは到底無理だろう。ずっと後ろ盾だった安倍晋三首相もかばいきれなかった
 
 「勢い使い尽くすべからず」。勢いにまかせて走ってはいけない。冷静になってわが身を振り返ることが大事だと禅の言葉は説いている。おごり、高ぶりはないかと、引き立てた方も引き立てられた方も顧みなければならない
 
 ところが、「安倍1強」の傘の下、自省が足りなかったようだ。ヒールの高い靴で潜水艦を視察。九州北部の豪雨で福岡、大分両県に特別警報が出ていた6日には、1時間以上も防衛省を離れた。先月の東京都議選では、行政の中立性を忘れたかのような発言で物議を醸した
 
 退場して全てが終わるわけではない。稲田氏が隠蔽を了承したのかどうか、疑いは晴れないままである。首相の任命責任も厳しく問われよう。閣僚の辞任は、2012年12月の第2次安倍政権発足以降6人目だ。つくづく思う。その任にふさわしい人を選ぶ目がなさすぎないか。