運転免許を自主返納する高齢者が県内でも増えている。6月までの半年間で、返納者は1571人。昨年同期の倍以上になる。3月の道交法改正で強化された認知機能検査が、自分の運転を見直す契機になっているようだ

 重大事故を起こす前に自ら卒業する。賢明な判断に違いない。「運転を続けるのは危ない」と自覚するなら、迷わず返納すべきだ。そうではあるのだが、いずれこんな社会的な圧力が生まれないか、心配している。「高齢者は運転するな」

 公共交通機関が貧弱な本県である。車を失えば、住み慣れた場所を離れなければならない事態もあり得る。過疎にも拍車がかかるだろう。自主返納による特典には限りがあり、お年寄りには生きづらい高齢社会となりそうだ

 年を取るとはこういうことと、諦めないといけないのだろうか。そうとも言えないようである。自動ブレーキなど、老化に伴う身体機能の低下を補う技術が次々と開発されている

 運転可能な車を先進安全技術が搭載されたものに限定したり、時間や地域を制限したりする「限定条件付き免許」の導入を、警察庁が検討している。欧米を中心に、既に取り入れられている制度だという

 事故防止対策は重要だが、まだまだ安全運転が可能な高齢者の移動手段まで、奪うことがあってはならない。一工夫が必要だ。