原爆が終戦を早め、たくさんの米兵を救った―。米国では今も広島、長崎への原爆投下を正しかったと信じる人が多いという。他の核保有国も事情は同じようだ
日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の田中煕巳(てるみ)代表委員(85)は、7年前に会談したフランス当局者の言葉を覚えている。「わが国民は核兵器保有を誇りに思っている。その世論が変わらなければ、放棄できない」
田中さんは「だったら、世論を変えればいい」と考えた。そこで生まれたのが、昨春に始まった「ヒバクシャ国際署名」である。世界中から数億人の賛同を集め、世論を動かす。高齢になった被爆者らが最後の運動と定めて取り組む
キャンペーンリーダーを務めるのは、長崎の被爆3世の林田光弘さん(25)だ。高校時代、国連で核廃絶を訴える「高校生平和大使」となり、大学進学後もいろんな社会運動に加わってきた
活動で大切なのは、被爆体験をきちんと伝えていくことだと思っている。同世代の若者に、どうすれば非人道的な兵器だと実感してもらえるか。被爆者と共に考える試みも行いたいという
世論といえば、唯一の被爆国の日本が最も厳しいはずなのに、政府は核兵器禁止条約に反対した。世代間だけでなく、政治と世論の溝をどう埋めるか。きょう、長崎原爆忌。被爆者の闘いはまだ終わらない。
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