一夜で百万人を集める東京の「隅田川花火大会」が、存続の岐路に立ったことがある。石原慎太郎氏が財政再建を公約に知事に就任した時のこと。江戸期に始まる庶民の楽しみも「聖域なき見直し」の例外ではない。都の撤退は中止を意味した

 さてどうする、と都の大幹部に詰め寄った時、発した一言が「タンゼイリョクのカンヨウも大事ですから」。字が浮かばない。担税力の涵養、と書くそうな

 夏の花火で気分が良くなれば税の払いも良くなる。冷え冷えした官僚の論理だが、存続は成った。首都でさえこの始末だ。地域の夏祭りは、どんな苦労と工夫の積み重ねかと頭が下がる

 14日夜、JRで徳島から鴨島に行き、初日を迎えた吉野川市の阿波踊りを楽しんだ。あちらこちらで笑顔の再会がある。「お子さん、大きゅうなったねえ」「今、どこ行っきょん」。浴衣姿の幼子が「踊るー」と叫んで、目の前の連に飛び込む。車いすのお年寄りがリズムに合わせて、小さく頭を揺らす

 今ごろは三好市の阿波踊りも盛り上がっていることだろう、とふと思う。小学生の頃、町内会の連で踊ったのは半世紀も前。それでも、自分にとっての夏祭りは池田町の阿波踊りだ

 きょう16日も吉野川市、三好市、つるぎ町(貞光)などで、踊りが繰り広げられる。皆さん、心ゆくまで楽しみましょう。