どっちもどっち。こういう言い方は、米国では人種差別を助長している、と受け止められる。南部バージニア州で白人至上主義者のグループと反対派が衝突した事件を巡って、トランプ大統領の言動への批判が止まらない
 
 反対派の市民らに車が突入し、女性が死亡するまでに至った事件で、トランプ氏は「両陣営の責任だ」「左派は暴力的に別のグループを攻撃した」と述べた。白人至上主義者に肩入れするような発言であることは明白で、事実、そうしたグループの喝采を浴びている
 
 会見会場の記者がどよめいたそうだ。常識的には大統領が口にすべきではない「禁句」である。身内の共和党も激しく非難している
 
 米紙によると、ここ数十年で最大規模とされる集会の中心になったのは、白人優越主義の秘密結社クー・クラックス・クラン(KKK)とネオナチ。札付きの筋の悪さだが、大統領選勝利の原動力となった支持層を引き留めたい一心からの発言らしい
 
 あきれたものだ。そうはっきり見えるのも、遠い国の話だからかもしれない。日本でもヘイトスピーチが問題になっており、しばしば反対派との衝突が起きている。どっちもどっちで済ませてはいないだろうか
 
 デモなどの方法論はともかくとして、差別を巡る態度は「する」「しない」の二つだけ。中途半端な答えはない。