インターネットを悪用したチケット詐欺事件で、無実の専門学校生を誤認逮捕した三好署の釈明はこうである。「逮捕する理由はあった。ただ、客観的な証拠は十分ではなかった」
確証はなかったけれど、確信はあったということか。間違った見立てで始まった捜査は、逮捕後も修正がきかなかった。「裏付けするにも、供述内容が曖昧で証明できなかった」とは言うものの
急転したのは、専門学校生が釈放されてすぐ、チケットの送付を記録した「特定記録郵便物等差出票」を自ら見つけてのことだ。これをきっかけに、成り済ましていた中学生が浮かんだ。思い込みが邪魔をしてか、県警が探したのは郵便局1局だけで、差出票はその隣の局にあった
「証明できなかった」のは、「供述が曖昧」だったからではなく、基本を外れたずさんな捜査だったからだろう。多くの冤罪(えんざい)事件と同様、19日間も勾留された専門学校生が、「もういいや」と警察の言い分通りに自白をしていれば、どうなっていたか
ネットでは、他人に成り済まして金銭や物品、情報を詐取する行為が横行している。冤罪を生んだパソコンの遠隔操作事件もあった
取り締まる県警が中学生に踊らされるとは情けない。もしや自分も、無実の専門学校生と同じ目に遭うかもしれない。そんな不安さえよぎる失態である。
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