どこにあるのか分からないのが、埋蔵金の埋蔵金たるゆえんである。古来、政権の座に就くためには兵を養い、戦いを勝ち抜く軍資金が必要だ。なのに、お家の再興に備えたとされる「徳川埋蔵金」は、いくら掘っても出て来ない
 
 総選挙が目前の今、不思議な埋蔵金が論議を呼んでいる。民進党が蓄えた政党交付金など約150億円の資金のことだ。この埋蔵金は、あり場所が分かっている。問題は使い道だ
 
 民進党は衆院選で公認が内定していた前職、元職、新人に資金を支給した。ところが、彼らは民進党ではなく、希望の党や立憲民主党から、そして、無所属でも出馬する。配られた埋蔵金の使い道は、本来の趣旨にはかなうまい
 
 もう一つ、分かりにくいのは、政権交代を掲げる希望の党の首相候補だ。小池百合子代表は衆院選出馬を否定している。新天地で政権奪取を目指す人たちは一体、誰を担ぐつもりなのだろうか
 
 ただ、自民党に加えて、新たな保守政党が誕生したことで、国民の選択肢は広がった。希望の党への警戒を強めている自民党は政党交付金について「みんなの党は国庫に返した」として批判する
 
 いずれにしても、交付金の制度改革は避けては通れまい。どの党も、候補者も選挙資金に曇りがあってはならない。埋蔵金を掘り出した後は、土を払ってガラス張りに。