講演で神山町を訪れた永松真紀さんに尋ねてみた。12年前、アフリカのケニアに嫁いだ。自然と共にある伝統的な暮らしは著書「私の夫はマサイ戦士」(新潮文庫)に詳しい。この時期なので、もう一つ。マサイの人たちは、選挙に関心がありますか?

 かなり事情は異なるが、投票率はすごく高い、との答えが返ってきた。人口約4700万人のケニアは、それぞれ違う言語を話す42の民族で構成されている。選挙は民族間のせめぎ合い、との意味もあって、熱を帯びるらしい

 牛乳を主食に、牛を追って生きるマサイも近年、教育にすこぶる力を入れるようになった。大学へ大学院へと子弟を通わせ、国の役人に仕立てる

 都会で成功すれば、そのお金で牛を買う。村の繁栄と利殖につながる「牛貯金」に精を出すそうだ。いかにもマサイらしいが、教育を重視するのは、土地所有の概念すらなく、国にやりたい放題されてきた反省からだという。選挙に熱心なのも、こういった流れの一環なのだろう

 確かに事情は異なるが、日本ではもう少しソフトな形で、似たようなことが行われてきたといえないか。国の政策が高齢者に手厚いのも、投票率と無関係ではなかろう。「シルバー民主主義」という言葉もあるぐらいだ

 選挙権が18歳以上に拡大されて初の衆院選。一票を無駄にするなかれ。