肌寒いな、と思ったら、東京都心や近畿地方で「木枯らし1号」が吹いた、と気象庁が発表した。あすから11月、季節は進んで冬である
 
 作家芥川龍之介に、さすがだな、と思わせる一句がある。<木がらしや目刺にのこる海のいろ>。魚に残るわずかな青から大海を想起する。さすがの人工知能(AI)も、まだこうした鋭敏な感覚までは備えていないだろう
 
 徳島県と電子書籍取次大手「メディアドゥ」が、飯泉嘉門知事の定例会見で新たな実証実験を始めた。音声認識システムを使って発言を自動で文書化し、その日午後には専用サイトで速報版を公表する。文字起こしに時間がかかるため、従来、会見録の公表は4日後だった
 
 面白いのは要約サービスだ。閲覧者の指示に従い全文の10~90%にAIがまとめてくれる。早速のぞいてみた。どうかな、という点はあるが、発言の的を外していないのなら、速報に勝るものはない
 
 要約率を10%に指定すると「正しい要約を行うことができませんでした」との表示が出た。AIが忖度(そんたく)するはずもなく、技術的な問題だろう
 
 さらに進化して価値判断までするAIが現れ、「本日の会見は10%あれば上等です」と辛口の評価をする日が来るのかもしれない。知事なら心配はなかろうが、4期目も後半である。感性の鈍磨には気をつけた方がいい。