ロシア革命を目撃した米ジャーナリストのジョン・リードは、それから3年後、母国を追われ、モスクワで亡くなっている。33歳の誕生日を目前に、旅先で食べたリンゴからチフスに感染した
 
 著書「世界をゆるがした十日間」は、史上初の社会主義政権が誕生した11月革命(ロシア暦では10月)の第一級のルポルタージュとして名高い。<それは冒険であった。人類がかつて乗り出した冒険のうちで、もっとも驚嘆すべきものの一つ>。筆は高揚感に満ちている
 
 1917年11月7日の政権奪取から、きょうで100年になる。ソ連型の社会主義は専制政治の一形態となり、ついには崩壊するが、優秀なジャーナリストといえども当時は、そのかすかなにおいすら感じ取れなかっただろう
 
 ひとえに時代である。革命のスローガンは「平和! パン! 土地!」。民衆は第1次大戦に苦しみ、飢えていた。今とは比較にならないほど低い生活水準を想像すれば、リードが社会主義に傾倒したのも無理はない
 
 負の面ばかりを見せられ、現在も近隣国に悩まされる私たちは、現実的であることが、いかにも正しいことだと信じがちだ
 
 ロシア革命の壮大な実験は、失敗に終わったと総括できよう。しかし格差が広がるこの世界で、理想の社会を追い求める姿勢だけは、見習うべきだと思うのである。