まさに劇的なゴールだった。11日に行われたJ2徳島ヴォルティスのホーム最終戦。プレーオフ進出を争う大分相手に、後半残り1分、エースストライカー渡大生(わたりだいき)選手がゴール前に飛び込んで頭で決めた
落とせばJ1昇格の望みが遠のく大一番である。チームカラーの青で染まったスタンドから、絶叫にも似た歓喜の声が沸き上がったのは言うまでもない
これで徳島は5位に浮上し、6位内のプレーオフ圏内を懸けて19日、東京ヴェルディと今季最終戦に臨む。くしくも開幕戦で当たり、5年ぶりの白星発進を飾ったときの相手だ。スペイン人の監督というのも共通している
そのロドリゲス監督は開幕前、徳島のファンを前に「皆さんに満足してもらうことが私の使命」と語り、11のキーワードを挙げていた。情熱、アグレッシブ(攻撃的)、楽しむ、謙虚などである
選手をはじめコーチ、スタッフらチームが一丸となって実践してきたからこそ今、J1が見える位置にいられるのだろう。大いに楽しませてもらったというファンも少なくないはずだ
ただ、これからは面白いだけでは済まされない。負ければ圏外転落の恐れがある最終戦。プレーオフの2試合は勝ち抜き戦である。劇的ゴールも見たいけれど、手に汗握る接戦より、できれば余裕を持って応援したい、とは勝手すぎるか。