地球を大きな磁石に見立てれば、北極がS極、南極がN極となる。小欄同様、反対じゃないか、と思った方もおられようが、ものの本によると、これで正しい。それが証拠に方位磁石はN極が北を指す
 
 ただし「現在は」との限定付きのようである。地磁気の向きは一定ではなく、過去360万年間に11回も逆転している。最後に反転したのは77万年前のこと。その痕跡が千葉県市原市の地層に残っている
 
 地球の歴史のうち、77万~12万6千年前を「チバニアン(千葉時代)」と命名する案が確実になったのも、これがため。決定すれば地質年代に、日本にちなんだ名が初めて付く
 
 地球の磁場逆転現象は1929年、京都帝大教授の松山基範が、世界に先駆けて提唱した。後に山口大の初代学長を務める松山は明治末、阿南の旧制富岡中の教壇に立っている。本県とも無縁ではない地球物理学者である
 
 画期的な発見の常で、通説を重んじる国際学会からは、まるで相手にされなかった。ようやく認められるようになったのは1950年代に入って。松山は58年に亡くなるが、その業績をたたえ、最後の逆転期は「松山逆磁極期」と呼ばれる
 
 米軍の演習場になりかけた名所・秋吉台を、学術的価値を示して守ったエピソードもある。通説にも米軍にも、臆することなく立ち向かった人である。