魅力的な唇であるために、優しい言葉を使いなさい。愛らしい瞳であるために、人の、よいところを探しなさい-。米国の作家サム・レヴェンソンが、美しさのヒントとして記している
 
 スリムな体形を保つにはどうするか。答えは明快で「飢えた人々と食べ物を分かち合うことだ」。要は内面が大事。それは理解しつつも古今東西、人は美を求めて涙ぐましい努力を続けてきた。これはむしろ称賛すべきことではあるが、今、困った問題が起きている
 
 ネットや雑誌で「美肌になれる」と紹介された保湿用塗り薬「ヒルドイド」を化粧品代わりにする女性が急増しているという。本来は、やけどやアトピー性皮膚炎などの治療に使う薬である
 
 公的医療保険を適用すれば安く入手できるため、化粧品店にでも行く感覚で病院を訪れる人が後を絶たないそうだ。健康保険組合連合会の推計では、美容目的とみられる使用で、年93億円が無駄に支出されている可能性がある。医療保険財政をさらに圧迫しかねない
 
 厚生労働省は処方の制限を検討している。そうなれば、不利益を受けるのは本当に薬を必要とする人たちである。抗がん剤や放射線治療のケアに薬が不可欠ながん患者の団体は、使いづらくなることを懸念する
 
 レヴェンソンが言う。今のうちと思った、美容目的のあなたには効かない。