一つの時代の終わりを、変わる元号と共に感じる。こうした心のありようは、天皇一代にただ一つの元号を用いる「一世一元」が制度化された明治以降かもしれない
「元号」(悟空出版)によると、最初の元号は645年の「大化」。続く「白雉(はくち)」(650年~)は、白いキジが見つかったのをよき事のしるしととらえ、改元したとされる。金産出の知らせを受けての「大宝」(701年~)は、後に、偽りだったとの落ちがつく
慶事ばかりではなく、天災や疫病が続いた際も、災い退散と人々の平安を願って年号を改め、人心一新を図った。「平成」まで数えて247。2カ月と少ししかなかった「暦仁(りゃくにん)」(1238年~)は極端としても、単純平均で5年余り。心情を託せるほどの長さではないようだ
天皇陛下の退位の日取りが2019年4月30日に決まった。光格天皇以来、約200年ぶりの退位となる。翌5月1日に皇太子さまが新天皇として即位し、改元する
いよいよ平成の終わりが見えてきた。皇位継承と改元の時期が事前に決まるのは、日本の歴史で初めてという。とすれば今のこのしみじみとした感じを味わった人は、いまだかつていない
平成、およそ30年。激動の昭和と並び、日本史に深く刻まれるのだろう。陛下の歩みと共に振り返れば、そんな感慨が湧いてくる。