大きく枝を張る大クス。1本の木ながら遠目には森のように見える=東みよし町加茂
 

 遠くから眺めると、家の屋根の向こうにあるのは、黄緑に色づきこんもりと茂る森だ。ところが近づくうち、森と思っていたものは1本の木だったと分かる。東みよし町加茂にある「加茂の大クス」はそれほどの巨木だ。

 根回り23・5メートル、高さは26メートルもある。太くどっしりと構えた幹から四方に伸びる枝は東西52メートル、南北42メートルまで広がり、小さな小学校の体育館がそのまま葉の陰に収まるほどだ。

 平地に生え、周りに大きな木が無いため、実際のサイズよりもさらに大きく感じる。木の真下まで行けば、頭上を覆う枝の迫力に飲み込まれそうになる。

 ここまで大きく育つにはどのくらいかかったのだろう。解説板には「樹齢千余年」とある。「千年前って平安時代か?」。とっさに思い浮かばないほど昔からここにある木である。

 クスノキは常緑樹で、寺社の境内や学校などによく植えられており、なじみのある木だ。調べてみると日本固有種ではなく、暖かい東南アジア辺りから持ち込まれた帰化植物なのだそうだ。

 深い山中に自生せず、人里近くでしか見られないため、人の移動とともに日本に来たと考えられている。これもまた遠い昔の話である。