北朝鮮の「北」。横田めぐみさんの母早紀江さんは今年の漢字をどんな気持ちで見ただろう。出版されて間もない新潟日報社編「川を上れ 海を渡れ」に思いの一端を寄せている
 
 新潟市の中学1年だっためぐみさん=失踪当時(13)=が1977年11月、下校中の自宅近くで拉致され、北朝鮮に連れ去られた。身が引き裂かれるような日々が続く。<捜して歩いた浜辺、鉛色の鉄板のような新潟の海・・・。今でも、申し訳ありませんが、大嫌いです>
 
 海を隔てた「北」を見詰め、もう40年になる。「北」に動きがあってもなくても、ずっと寄り添い、日報は書き続ける。拉致を風化させてはならない。諦めない姿勢に<涙が出るほどありがたいことです>と早紀江さん
 
 「中央署管内で誘拐らしい」との報を聞き、取材を始めた当時の日報記者の証言がつづられている。「失踪」が「拉致」に変わるまで20年近く。記者としての無力さを心の底から感じ「記者として何ができるか」と考えたとある
 
 それが早紀江さん揮毫(きごう)の「祈り」というカットを使ったキャンペーンや、毎年開く県民集会にもつながっている。記者たちが片時も忘れていないのは、早紀江さんの思いである
 
 「北」では、53歳になるめぐみさんら拉致被害者が、救い出されるのを待っている。一刻も早く、「祈り」を形にしたい。