スーさんといえば、「釣りバカ日誌」シリーズで人気を集めた三国連太郎さんだが、一時期、このまま続けると「ダメになるんじゃないか」と降板を考えたこともある
 
 それを押しとどめたのは「男はつらいよ」の寅さんこと、渥美清さんの一言。「連ちゃんは幸せもんだね、好きなことやってて」。三国さんは「もうちょっとやってみようかという気になった」と述懐している。4年前、本紙に載った三国さんの評伝に、経緯がある
 
 吉永小百合さんも、共演した渥美さんの一言に救われている。働き続け、声が出にくくなっていたころ。「役者ってもんは、さだめがないもんよ。なるようにしかならない」と
 
 取材したのは、名優たちのインタビューを続ける共同通信社編集委員の立花珠樹(たまき)さんである。先日あった滴翠クラブ12月例会で披露した話には、映画の世界にとどめておくだけではもったいない、後からじわりと効いてくるような言葉が詰まっていた。語り口を思い浮かべ、いつまでも聞いていたいとも思った
 
 どの世界もそうだが、仕事をやりきった人が語る、残した言葉は味わい深い。満たされない、やり場のない、その時々に効いてくる
 
 スーさんこと三国さんは亡くなる前、立花さんにこんな言葉を贈った。「和顔愛語」。文字通り和やかな顔で接し、思いやりのある心で―。