トナカイ。偶蹄目(ぐうていもく)シカ科。雌にも角があるのが特徴の一つ。雄の巨大な角は、3月ごろから出始め、10月には立派になるのだが、ちょっと驚く経過をたどる

 <発情期は10~11月で、この時期を過ぎるとすぐに落角する>(日本大百科全書)。角は12月にはなくなっているらしい。それならサンタクロースのそりを引いているのは、雄ではないということになる。もっとも、空を飛ぶので、全く種類が違うと考えるほかない

 サンタはキリスト教の聖人ニコラスに由来する。ただ、トルコの人でトナカイとは縁が薄い。今、誰しもが思い浮かべるサンタのイメージを決定づけたのは1823年、米紙に匿名で発表された一編の詩だそうだ

 赤鼻のトナカイとなれば、さらに時代は下る。作者はロバート・L・メイ。米国の有名デパートの社員で、顧客に配るクリスマス用の本を、との社命を受けて執筆した。1939年、第2次大戦が始まった年のことである

 トナカイの名をルドルフという。濃霧に困り果てていたサンタを、いつもはみんなに笑われていた輝く鼻で助け、不眠不休で飛び回った。一躍、ヒーローになった朝、スピーチを求められ、先の詩を下敷きにしてひと言。「クリスマスおめでとう。そして、おやすみなさい」

 欧州や中国には砲煙がたなびいていた。命懸けだっただろう。