それはごみ箱でなく、善意の「杖(つえ)入れ」である。中をのぞき込むと、食べかす入りのコンビニ袋が投げ込まれていた。あるはずの杖は見当たらない
 
 多くの市民が散策を楽しむ徳島市の城山。四つの登り口に、杖入れの四角い木箱がある。徳島中央公園の美化を担うシルバー人材センターが、数年前に杖とともに寄贈した。60メートル余の頂上まで約10分だが、結構険しい。脚の弱い人の助けになれば、との気遣いだ
 
 用がなくなったと投げ捨てたのか、木々の中から杖が見つかったこともあった。堀に浮かんだビニール袋、放置されたペットのふん。公園は市民の心を映す鏡、とは言い過ぎだろうか
 
 この春、中央公園の常設ごみ箱24個が撤去された。新町川公園も18個が撤去され、市立の全公園からごみ箱が消えた。家庭ごみを持ち込むな、園内で出したごみは持ち帰れ。賛同者は多い
 
 植栽や杖入れの中に押し込む不心得者はいるが、市の公園緑地課は「3割方、ごみが減った」。うれしい変化は、もっとある。ごみ集めボランティアの姿が目立つようになった
 
 さて、散歩中に善意で拾ったごみはどうしたらいいのか。汚物を自宅に持ち帰れ、は酷だ。市は園の出口に「回収箱」を設ける案を検討している。そんなことをしたら、ごみ箱復活と同じじゃないか、との反対意見もある。難問である。