「委託期間の5年間、赤字でも構わない。リスクばかり見ていては良いものは生まれない。地域の宝である阿波踊りを世界に誇れる踊りにしていく」

 民間として初めて、阿波踊り運営のかじ取りを担うことになった。関心は事業の採算より、踊りの魅力アップにある。

 東京都豊島区出身。中央大を卒業後、国鉄職員、サンシャイン劇場支配人、明治座統括部長と渡り歩いた。時代劇が中心だった明治座では、アイドル主演のミュージカルなど斬新な企画で客席を連日満員にした。

 48歳の時、仕事で交流があったキョードー東京に実績を認められ、取締役に就任。演劇や映画祭の企画運営などに携わる、根っからのイベント屋だ。

 信条は「挑戦すること」。猛勉強の末に60歳で東京大大学院に入り、仕事と両立しながら人工知能や社会情報学などを学んだ。「新しいことを成し遂げるのに年齢は関係ない。人間として成長し続けたい」と話す。

 阿波踊りには東大連などで何度か参加した。徳島の印象は「観光資源だらけなのに、知られてなくてもったいない」。踊り事業の一環で旅行情報会社と連携し、徳島の魅力の国内外への発信や、踊りの公式グッズ制作などを思い描く。「新たなマーケットを開拓し、来場者に喜んでもらえる工夫をどんどん盛り込みたい」と意欲的だ。

 趣味は仕事で「休みたいと思わない」と笑う。最近は山形や広島の文化会館運営なども手掛け、全国を飛び回っている。豊島区で妻と長男、長女の4人暮らし。63歳。