「虹をつかむ男」の一般公開初日に訪れた人たち=1996年12月、徳島市籠屋町の映画館

 脇町(現美馬市脇町)などでロケが行われた映画「虹をつかむ男」の「全国で大ヒット」が1位だった。平成8年の10大ニュースも「脇町でロケが行われる」がトップで、2年連続で県民の関心を集めた。

 虹をつかむ男は、「寅さん」シリーズで知られる山田洋次監督が手掛け、主役は西田敏行さん、ヒロインは田中裕子さんが務めた。

 1996年12月、全国に先駆けて徳島市の映画館で封切られ、予定を1カ月延長して97年3月まで上映された。県内では移動上映会も開かれ、合わせて約5万人が観賞した。全国各地の映画館にも多くの人が詰め掛けたほか、ロケの舞台となった脇町へのマスコミの取材や観光客も増えた。

 2位は、明石海峡大橋を含む神戸―鳴門ルートの全線開通日の決定。98年4月5日となり、全通ムードが一気に高まった。

 3位は、新動物園の建設に伴う徳島市中徳島町の市立動物園閉園だった。旧動物園は57年に開園し、来園者は約660万人に上った。60年にインドからやってきた象の「花子」は、92年に死ぬまで一番の人気者だった。キリンの「太郎」との塀越しのロマンスは全国に知れ渡った。

 新たな動物園は渋野、方上両町に造られ、旧動物園の閉園後、動物は移された。

 建設省(現国土交通省)が計画する大型公共事業も注目を集めた。

 吉野川の第十堰を巡っては、知事や学識経験者らでつくる建設事業審議委員会が審議を続けた。3月には圓藤寿穂知事が「可動堰がベスト」と発言。審議途中だっただけに物議をかもした。

 那賀川の細川内ダムについては、亀井静香建設相が6月、細川内ダム工事事務所を廃止することを表明した。これを受けて建設省は、来年度予算の概算要求で関連予算をゼロとし、「一時休止」にした。

 日本を代表する文楽人形師で国選定文化保存技術者の大江巳之助さんが1月24日、89歳で亡くなった。大江さんは1930年に大阪・文楽座(現国立文楽劇場)に入り、首(かしら)づくり精魂を傾けた。


●平成9年(1997年)
 <1>「虹をつかむ男」大ヒット(1月)
 <2>明石海峡大橋全通日が決定(7月)
 <3>徳島市立動物園が閉園(12月)
 <4>第十堰問題で議論続く(通年)
 <5>徳島道・脇町―美馬間が開通(12月)
 <6>大江巳之助さん死去(1月)
 <7>日産生命破たんで非難集中(4月)
 <8>細川内ダム「一時休止」(6月)
 <9>文化功労者に瀬戸内寂聴さん(10月)
 <10>阿波銀元支店長、横領で逮捕(2月)