20年近く前になる。海上自衛隊第24航空隊が小松島航空隊と呼ばれていたころ、地元の支局に駐在していた。取材で何度かヘリコプターに乗ったことがある 
 和歌山県潮岬沖で起きた未明の海難事故は、今も印象深い。悪天候の中、海上保安本部から応援要請を受けた航空隊などのヘリが急行し、転覆寸前の大型貨物船から、共同で乗組員計14人を機上へ引き上げ、救った。実戦部隊としては異例の救出劇だった 
 ヘリの荷室扉が開かれ、身を乗り出して写真を撮った。足元はるか下、黒くうねる海が見えたが、さほど怖くはなかった。後ろで隊員が命綱をしっかり握り、支えてくれていたからだ。自衛隊だもの大丈夫。そんな信頼感もあった 
 佐賀県神埼市の住宅に陸上自衛隊の戦闘ヘリが墜落し、犠牲者が出た。飛行中、主回転翼が分離してほぼ垂直に落下したとみられ、部品や整備に問題があった可能性があるという 
 国民の安全を守るはずの自衛隊が、安全を脅かす。あってはならない事態である。だがこのところ、国民の信頼を自ら傷つけるような事故が続いている 
 在日米軍でも事故やトラブルが頻発しており、北朝鮮対応で実任務が増えた影響も指摘される。だとしても、それは理由にはなるまい。徹底的に原因を探り、自衛隊水準はこれだという再発防止策を示していただきたい。