「私本日、違反を致しまして」と折り目正しく自戒の念を口にする人に、お目にかかったことがない。大抵は「やられた」だの「捕まった」だの、あまつさえ「あんな所で取り締まりとは」。悪いのは警察の方と言わんばかりに恨み言をつらつら
 
 運転免許を更新した。私、晴れて優良運転者。お久しぶりのゴールド免許である。振り返ればこの5年、もっぱら恨み言の聞き役に回っていたわけだ、と自慢げに書くほどのことでもない。県警によると、昨年更新したドライバーの半数近くが優良運転者だそうだ
 
 久しぶりとはいえ、それまでの運転が乱暴だったか。そうではない。大した違反もない。つい、うっかり、拍子が悪かっただけではないか、と減らず口は止まらぬ
 
 そんな気分でいると、更新時講習で講師がぴしゃり。事故原因の半数以上は、つい、うっかり、気の緩み。前方をよく見ていなかったり、注意が不十分だったりする安全運転義務違反が占めている
 
 減少傾向とはいえ昨年、県内で約3100件の人身事故が発生した。34人が亡くなり、3800人余りがけがをしている
 
 改めて眺めれば、すさまじい数字だ。車がなければ、それだけの人がけがをせず、死なずにも済んだのである。しかし車がなくては、の地方の暮らし。ならば私もあなたも安全運転、ゆめゆめ怠りなく。