水事情の悪い地域も多い東アフリカ・ケニア。貧しい子どもの支援をしている松下照美さん=徳島市出身=が拠点を置く地方都市ティカには上水道があり、水の苦労はさほどなかった
 
 ところが、数日前から蛇口を開けても出なくなったとか。20人ほどが暮らす施設「子どもたちの家」も、その日の飲み水にも困るありさまだ
 
 乾期ということはあるが、街の人口は10年余で倍増しており、そもそも供給が追い付いていないらしい。行政が乱開発を許した末の水不足である。人災の色合いが濃い
 
 那賀町でも、鷲敷地区の8割に当たる千世帯余りが断水した。いつ平常に戻れるか、まだ見通しが立たないようだ。例年に比べて降水量は少ない。ただ、記録的とまでいかないのに、どうしてか、とは思う。漏水など、他に理由はないのだろうか
 
 ともあれ町は、1月末には浄水場の変調をつかんでいたという。だとすれば、打つべき対策はあったはずで、住民が怒るのはもっとも。休校や給食の中止など、子どもたちにも影響が及んでいる。最悪の事態を想定し、対処してきたか
 
 水を制する者は天下を制する、といえば少し大げさになるが、政治の「治」はもともと「水を治める」との意味である。当然、利水も含まれる。民営化ばやりのここ日本でも、安全な水の提供は、まだまだ行政の役割だ。