疑いもなく、最も美しい光景だった。スピードスケート女子500メートルで、金メダルの小平奈緒選手が、3連覇を逃した李相花(イサンファ)選手の肩を抱き寄せた場面である
「今も尊敬しているよ」と、親友でもある元女王をたたえたという。もしも両選手が逆の立場なら、これほど感動しただろうかと、ちらりと思いもしたが、日韓二つの国旗が仲良くリンクを回る姿には、胸が熱くなった
そんな数々のドラマを生んだ平昌五輪が幕を下ろした。冬季五輪で最多となるメダル13個。日本勢の連日の活躍に沸いた大会だった。むき出しの政治利用にうんざりすることもあったけれど。“美女応援団”の一糸乱れぬ声援は、北朝鮮のイメージを上げたのやら下げたのやら
世界の注目が集まる五輪は、サイバー攻撃の標的としても一流だ。2012年のロンドン大会では2億回超、16年のリオデジャネイロ大会では5億回超の攻撃があり、今回も深刻な被害があった
天候に悩まされたり、欧米でのテレビ放送に合わせ、競技時間が深夜や午前に設定されたり。同じアジアの東京五輪でも直面するに違いない課題が浮き彫りになった。あと2年でどう解決するか、今度は東京が問われる番である
来月9日には、平昌パラリンピックが開幕する。感動の取りこぼしがないよう、もう一度、テレビの番人となろう。