昨年6月18日午前7時58分、自宅マンション10階で大きな揺れに見舞われた。大阪市北区や高槻市などで震度6弱を観測した大阪北部地震。会社から呼び出しの電話があり、職場の大阪松竹座(大阪市中央区)へと急いだ。

 当日予定していた公演の中止が決まり、開場前から列を作っていたファンへの対応を任された。「ショックで泣き崩れる人がいた。命懸けで見に来てくれているんだと、身が引き締まった」

 エンターテインメントの老舗「松竹」(東京)に所属。大阪松竹座と、歌舞伎上演で400年の歴史がある南座(京都市)で営業を担当する。震災体験を通じて、改めて仕事のやりがいと責任を実感した。

 高校時代は演劇部に所属。大学で古典芸能研究部に入り歌舞伎や文楽をよく鑑賞した。卒業後は証券会社などで勤めたものの、「やはり好きなことを仕事にしたい」と転職先を探していた。松竹の中途採用社員の募集を締め切り前日にインターネットで見つけ、迷わず応募した。「運命的なものを感じた」。天職を得た喜びに実感がこもる。

 昨年11月、南座が2年9カ月ぶりに耐震改修を終えた。記念のお練りで、松本幸四郎さんや市川海老蔵さんら人気の歌舞伎役者が祇園の四条通りを歩き、見物客であふれた。「もみくちゃにされながら役者さんが通る道を確保した。大変だったけど南座と歌舞伎が愛されていると感動した」と振り返る。

 南座はリニューアルを機に若い世代向けの公演や催しを増やしている。5月には拡張現実(AR)の最新技術を駆使した体験型イベント「ミライマツリ2019」を開く。「徳島からも気軽に足を運んでほしい」。南座のゆるキャラ「みなみーな」を持ちPRする。

 ささき・ちさき 石井町出身。城北高、関西学院大文学部卒。2017年7月に松竹に入社し、関西演劇室に所属。大阪市在住。26歳。