自分の仕事はとうに終わっているのに、周りはまだ働いている。帰りづらくて、ついつい会社に長居してしまう。そんな経験はないだろうか
 
 長時間労働の是正が叫ばれる近年でこそ変わりつつあるが、要領よく片付けてさっさと帰る人よりも、遅くまで仕事に取り組む人の方が、「あいつは熱心だ」と称揚される。日本の企業社会で生きていくには「努力」や「忠誠心」も大切なポイントとなってきた
 
 成果より、むしろ努力に重きが置かれてきたといえるかもしれない。それを時間で計ってきたから、労働時間は必要以上に長くなる。経済協力開発機構の2016年の調査では、日本の労働生産性は平均を下回る
 
 最も短いドイツの年間平均労働時間は1363時間。労働時間当たりの国内総生産、つまり労働生産性は66・6ドル(15年)。比べて日本は1713時間で45・5ドル(同)。差は歴然としている
 
 働き方改革が必要だとする安倍晋三首相の提案に異論はない。時間外労働の規制や「同一労働同一賃金」は、ぜひ早急に実現してほしい
 
 働き方改革4本柱のあと二つ、裁量労働制の対象拡大と高度プロフェッショナル制度の創設は厄介だ。長時間労働につながる懸念がある。ずさんな調査もあって関連法案から裁量労働制の拡大は削った。もっと企業側に甘い高プロも、撤回すべきだ。