1989年5月21日、徳島県立神山森林公園(神山町)での全国植樹祭に出席した天皇陛下が植えられた杉の苗木は、2004年に神山森林公園であった全国育樹祭で皇太子さまが枝打ちし、2代にわたって育てられた。「平成」の時代と共に歩んだ木は大きく成長し、「令和」に継がれていく。
平成に入り初めてとなった植樹祭のテーマは「やすらぎの緑を未来へ」。天皇陛下は皇后さまと共に来県され、県内外から約1万2千人が出席した。
陛下は「お言葉」の中で「自然は私たちの祖先が育んできたものであり、守り育てていくことは、私たちに課せられた義務であり、人類全体にとっても極めて重要な課題となっています。今後とも積極的に植樹を推進し、緑あふれる豊かな国土の建設に力を尽くされることを希望いたします」と述べられた。
陛下が杉、皇后さまが県の木・ヤマモモの苗木を3本ずつ植えられた。
育樹祭は、植樹祭で陛下が植えた木を、皇太子さまが手入れされるために開かれる。徳島では植樹祭から15年後に皇太子さまが杉の枝打ちをし、ヤマモモの下に土壌改良剤をまかれた。
杉とヤマモモの計6本は並んで育てられている。高さ1メートルほどだった細い苗木は、杉が15メートル以上、ヤマモモが10メートル近くになった。
09年度から神山森林公園の指定管理者になっている徳島中央森林組合によると、最も心配するのが台風などの強風による影響だという。倒れないよう支柱を立てており、台風が近づく前には点検している。ヤマモモは虫が付きやすいため、状況を見ながら薬剤の散布も行う。
公園の大野浩所長は「無事に守り育て、平成の時代を終えて令和の時代に入ることにほっとしている。これからも公園の活動を通じて木の大切さを伝えていきたい」と話している。