1000年近くも前の話になる。このお姫さまにとっては、心ときめく季節の到来だろう。きょうは二十四節気の「啓蟄(けいちつ)」。冬ごもりをしていた虫たちが、そろりとはい出してくるころとされる
「堤中納言物語」の<虫めづる姫君>。取り繕うのは良くないと、当時のたしなみだったお歯黒もせず、眉の手入れもしない。殊の外、毛虫がお気に入りで、手のひらに転がし、かわいがってみせる。よほどの変わり者のようではあるけれど、彼女なりに理由があった
人は、花よ蝶(ちょう)よと褒めそやすが、考えが浅い。<人間というものは、誠実さがあり、物の実体を探し求めてこそ、心がけがすばらしいというものです>(坂口由美子訳)。森羅万象、移りゆくこの世界。毛虫か蝶か、いずれがかりそめの姿か
とはいえ変えてはならないものがある。「森友学園」問題を巡って、財務省の決裁文書が問題発覚後に書き換えられた疑いがあるとの朝日新聞の報道は、事実であるなら「ゆゆしき事態」だ
契約当時の文書の複数箇所にあった「特例」との文言が、開示された文書から消されていたという。公文書の偽造、証拠の隠滅である。罪に問われかねないことまでして、何を隠したかったのか
事実関係を調査中の財務省は、きょう結果を国会に回答する。「蛇穴を出(い)づ」ころでもある。何が飛び出すか。
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