徳島県遺族会が、県内の子どもたちに県戦没者記念館(徳島市雑賀町東開)を訪れてもらう取り組みに力を入れている。記念館を紹介するDVDを制作して県内の小中高校に配布しており、2017年度からは小中学生が学校単位で訪れる際に交通費の一部を助成する。太平洋戦争開戦から75年を経て、悲惨な戦争の記憶を風化させず、次世代に継承しようとしている。
記念館は14年10月、県遺族会が県護国神社の敷地に開設した。遺族会が開館1年目に行った来館者アンケートでは、回答した1291人中、20歳未満は3・1%の40人しかいなかった。児童生徒の平和学習の場として活用してもらおうと、15年2月に学校に文書を送るなどしてきたが、15年度に2校、16年度に1校しか訪れておらず、啓発に力を入れることにした。
DVDは約14分。太平洋戦争で犠牲になった県出身兵士の遺影や遺品が並ぶ展示スペースを紹介し、生き残った元兵士や徳島大空襲の被災者が体験を話す様子も収録している。
また小中学生に限り、バスやジャンボタクシーで訪れる際は1台当たり最大2万5千円を補助する。期間は17年度から3年間。
DVDは千枚作製。昨年11月下旬から各地域の遺族会員が手分けして県内全小中高校に順次配布。沖縄戦を描いた紙芝居の出張上演や、記念館で月1回開いている戦争体験者の「語り部事業」を撮影したDVDの貸し出しもPRしている。
増矢稔会長(76)は「子どもたちが平和について考えるきっかけにしてほしい」と呼び掛けている。補助の申し込みは県遺族会<電088(636)3212>。