新天皇陛下が即位し、令和が時を刻み始めた。

 前回の代替わりと違って、お祭りムードの中で迎えた新時代。だが、積み残された課題は多い。

 「象徴とは何か」を行動で示してこられた前天皇陛下の後を受けて、新陛下はどんな天皇像を提示されるのか。「即位後朝見の儀」で述べられる初の「お言葉」に耳を澄ませたい。

 「国民に常に寄り添い、人々と共に喜び、あるいは共に悲しみながら、象徴としての務めを果たしたい」。今年2月23日の誕生日に先立つ記者会見で新陛下は、前天皇、皇后ご夫妻が「大きな道しるべとなる」とも語った。

 目指しているところは明らかである。ただ、前陛下が築き、広く国民の支持を集めた天皇像は、一つの到達点にすぎない。

 「平成流」を踏襲しつつ、さらにその内容を豊かにしていけるか。新陛下は今、そんな難題と向き合っているのだろう。長年携わってきた「水にかかわる問題」などを新たな切り口として、「令和流」を確立していただきたい。

 本県にとってうれしいことに、新陛下は皇太子時代、私的訪問も含めて9回来県されており、徳島の事情もよくご存じだ。

 昨年6月には、津波被害の歴史と防災施設の現状を知るため美波町を訪れ、国内最古の地震津波碑とされる「康暦の碑」などを見学。伝えていくことの大切さを語られた。再びお目にかかれる日が待ち遠しい。

 さて、新陛下と共に歩む令和である。人口減や高齢化をはじめとして、日本は容易に解決し得ない課題に直面している。政治も経済も社会も、いやおうなく変化が求められよう。

 本県にとっても苦難の日々が続きそうだ。

 国立社会保障・人口問題研究所によると、73万人余の本県人口は、2040年には60万人を割り込み、世帯主が65歳以上の高齢者世帯の割合が49%とほぼ半数に達する。推計とはいえ、確実に訪れる未来である。

 医療・介護の充実をはじめ、高齢になっても住みやすいまちづくりを、ハード、ソフトの両面で進めなければならない。可能な手を一つ一つ着実に打っていかないと、到底間に合わない。

 南海トラフ巨大地震の危険も高まっている。今後30年間の発生確率は70~80%。巨大地震の平均発生間隔は約88年で、前回の昭和南海が1946年だったことを考え合わせると、遠からず被害に遭う恐れは大きい。その覚悟と備えが大事だ。

 4月から、外国人労働者の受け入れが拡大された。ともすれば閉鎖的といわれる地域社会も、開かれた、多様な文化に寛容な社会へと脱皮する必要がある。

 動きだす時は今。令和の始まりに、私たちも意味ある一歩を踏みだそう。