「こんな街があるなんて」と胸が高鳴った。昨年8月、親交のあった小川浩・富岡西高野球部監督の招きで同校野球部の指導に訪れた際、ホテルの玄関前で見た「野球のまち阿南」ののぼり。すぐさま阿南市役所にある「野球のまち推進課」へ駆け込んだ。

 もともと野球で世の中に貢献したいという思いが強かった。鹿児島県の大学や社会人チームで指導者を務めていたときには、米国の大学生を招いて地元大学との交流戦も企画している。

 訪ねて行った市役所では、事業としての野球観光ツアーや生涯野球の取り組みを聞いた。「人脈を生かして、この街で少しでもお役に立てれば」。思いが通じたのか、市からアドバイザー就任の話が舞い込んだ。

 兵庫県加古川市に生まれて間もなく、広島市に移った。小学2年から野球を始め、進学先の広陵高校で2度、甲子園へ。天理大を卒業後、奈良県の公立高校で野球部監督になり、選手の自主性を重んじた「ノーサイン野球」を実践。東亜大の監督時には1994、2003、04年の明治神宮大会を制した。

 今春、富岡西高が甲子園に出場し、阿南の野球熱はさらに高まった。「野球で国や地域間の交流ができると思う。野球に関する取り組みを、市の発展につなげたい」と意気込む。

 徳島での楽しみは阿波踊り。女優・松嶋菜々子主演の映画「眉山」を見て感動したという。「一度は行ってみたいし、踊ってみたい」。現在は阿南市で妻と2人暮らし。64歳。